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願わくばまんまるく、徒然。

願わくば道端の石のように穏やかに、永遠の傍観者に。

『インセプション』感想。

何となく唐突に映画インセプションの感想。普通にネタバレしていますので未見の方はご注意(o^-')b☆

先日テレビでやったのを録画していてですね、観るのは二回目なんですが、好きな話なので今度はあまり好きじゃないところは飛ばしつつ・好きなところは重点的に、観ました(´∀`)
映画に全く詳しくないので監督にも詳しくないんですが、こういう話が好きなのと同じ監督だったと知った『プレステージ』を観た時もやはり似たような感覚に陥ったことを思い出して、クリストファー・ノーラン監督が好きなのかも…と思いましたね。

 

そもそも私はこういうSFサスペンスが好きでして。
『トータルリコール』『マイノリティリポート』『マトリックス』『CUBE』『カンパニーマン』…などの「近未来設定で謎を追う・問題を解決する」系の話が大好物なのです(CUBEはちょっと毛色が違うけど…)。

また、夢については一家言あるくらいで(面倒くさい人物像)、夢の中で夢を見る多段夢の経験も普通にあるため*1、この作品の世界観もすんなり理解でき、解説サイトを巡って「難しいという意見がある」ことを知って本気で驚いた次第。最初に見た時にものすごく分かりやすい、素晴らしい娯楽大作だと思ったのでね。

ところが、二回目を観てまた解説サイト巡りをしてみると、自分の気付いていなかった色んなものが仕込まれている&はっきりしない矛盾点がある、ことを知りまして。

「ああ自分は映画や舞台や小説などの創作品に仕込まれた深い意味を読み解ける側の人間には一生なれないんだなー(´∀`)」と自分の浅はかさをまた改めて思い知りましたw
まあ、何でも表面に出されているものだけを見て楽しんでくれる、ある意味一番望む観客&いいお客さんとも言えるかもしれませんが…。*2

で、やっぱり好きな話だと思いました。
好きなシーンは夢の中でのミッションシーン全部、ロバートが金庫で風車を見つけるシーン、車が着水してキックの連続でみんなの目が覚めていくシーン、飛行機の中で目を覚ましたコブにアーサーがホッとしてサイトーが電話をかけるシーン、空港でアイコンタクトで別れるシーン、です。
嫌いなシーンはモル関係全部です(´ー`)

というか私はこれまでずっとモルが嫌いでしてね…(しみじみ)。
一回目観た時もモルへの不快があまりにも強すぎて、モルを演じたマリオン・コティヤールまで嫌いになってしまい(理不尽なとばっちり)、他の映画やドラマでたまたま映ったらそこで見るのをやめるくらいトラウマになって、二回目観るのもモルを観たくないがためにためらった…くらい嫌いだったのです。
まず、母親でありながら現実に戻るのを拒否して夫と二人きりでいる世界を望んだ(=現実にいる子供たちをどうでもいいと思った)のがものすごく嫌悪感で
母であるより女をとる、という感覚が私は本当にダメなので、そこが生理的に受け付けられなかった。
それから、自殺した後も呪いのようにコブを苦しめる手はずを整えていたこと。なにこのクソ女?(゚д゚)
子供のことを考えたら母親も父親もいなくなるなんて一番避けなきゃいけないことなのに、コブが子供の元にいられないようにしてから自分は自殺するって親として最低のクズだろと。
これで容姿がミザリーやアグリーベティだったら「ああ…確かに夫の愛は失いたくないよね…ちょっと可哀想だな」と謎な思考回路で何故か納得というか情状酌量できる気がするんですが(自分でもよく分からない説明( ´_ゝ`))、マリオンは絶世の美女で、いかにも男を惑わせる系の魔性の美人じゃないですか。女捨てられないの分かってるだろ、なら最初からガキなんか作るんじゃないよ!(゚д゚)って言いたくなったという。

…それはもしかしたら完全な言いがかりなんですが(多分そう(゚д゚;))、ここは国の違いもあるとは思っていて。
米ドラマを見ていると、あっちの夫婦って結婚して家族になっても子供が出来ても「男女」であることを大事にしていて、セックスやそういうスキンシップの努力の有無が離婚の争点になるのが当たり前の社会じゃないですか。
でも日本てそうじゃなくて。
子供の前では男と女でいることを封印するのが当たり前で、配偶者よりも子供一番、というのが求められますよね。それが良いのか悪いのかというのはおいておいて、文化の違い、感覚の違い、というものがあるというのは確かだと思う。

そんな感じでもうとにかくモルが嫌いだったんですが、今回二回目を観て少しだけ意識が変わりました。

まず、浅く見流していたんでしょうね…モルが自殺した「直接の原因」がコブによる「インセプション」だった、ということを再確認しまして。これ、説明しますが、勘違いしていて、コブがモルの金庫に回り続けるコマを入れたことをモルも知っていたと思い込んでいたのです。
何らかの誘導でモルが金庫を開けて回り続けるコマを目にしたことで「ここは現実じゃないんだ」とモル自身が知って、あの線路のシーンだと思ってたんですよ。
だって、回り続けるコマを入れた金庫に鍵をかけただけ(モルに見せなくても)でモルにインセプションできるなら、ロバートに金庫を開けさせる必要はなかったじゃないですか。風車を見せなくてもそれを金庫に入れておくだけで良いわけで。
↑…こう思っていたんですが、それは私の間違いで、モルは金庫を開けておらず、回り続けるコマも目にしていなかったんですよね。恐らく。
そもそも、それこそが定義上の「インセプション(=対象者の知らない内にアイディアを植え付ける)」なわけで。
もちろん、なぜそれでインセプションできたかというと、あれはモルの夢(或いはコプと完全に融合した夢)だったから。
ロバートに金庫を開けさせて風車を見せる必要があったのは、あれはロバートの夢じゃなかったから(ユスフの夢ですよね)。
仮に、もしあの雪山の第三階層がロバート自身の夢だったとしたら(親しくなって「一緒にドリームマシンに入ろうぜ!」「いいね!」ということができていたと仮定したらw)それこそモルの場合と同じようにあの金庫に風車を入れておくだけで良かったわけです。夢の中でロバート自身に見せる必要は全然なかった。

「回り続けるコマ=ここは現実じゃないという考え」がモルの知らないところで潜在意識、しかも虚無という心の一番奥底の階層に植え付けられたせいで、モルは死を選んだ。
コブの必死の説得なんて聞くわけがないんですよね。要するに「完全に洗脳されている脳の状態」なわけだから…。
だから、モルが死んだのはコブが全面的に悪い、ということがはっきり腑に落ちたわけです。

それと、これは自分が変化したことがあるんでしようが、モルって人は本当にコブのことが好きだったんだろうなあ…と。
また、虚無の中の時間は現実の何十倍、何百倍も速いわけで、逆竜宮城。現実での育児にちょっと疲れて、子供といっとき離れて昼寝する数時間の間に何十年も過ごせるとしたら…それは夢中になってしまいもするんじゃないだろうか。
完璧な母親だったらそこで子供のことを第一に考えるんだろうけれど、ほんとダメな母親である自分を引き合いに出すまでもなく、人間である限り完璧な母親なんていないわけでね(´・ω・`)
最後にコブがモルの幻影と決別する時に言った「欠点もあって複雑なモルだから愛した」というような言葉は、そういうことも含んでいたんじゃないかなあ…と。現実に戻りたがらなかった「弱い部分」もあるモル、だから愛していたと。

そうは言っても、いくら洗脳されていて「私と一緒に来てくれない(=私のことをもう愛していないのかもしれない)コブが憎い!」と思ってしまっていたとしても、コブを子供から引きはがし国中から追われるような計略をする必要はなかった。
また、気持ちは多少分かるようになったとはいえ、やはり自分が今いるのが虚無であって現実じゃないと知っていながら現実に残されて置かれている子供たちのことを気がかりにならない、どころかトーテムを封印して現実を捨てて虚無で生き続けることを選ぶ(=現実の子供たちを文字通りの意味で「捨てる」こと!)というのはやっぱり許せないというか、決して納得できないわけで。

だからモルのことはまあ嫌いなままですが、少しは情状酌量できるかな…というレベルのところに落ち着きましたよ(´∀`)

何だかんだいってマリオン・コティヤールが美しいわけでね…。涙を流しながらコブの腕の中で息を引き取るモル(コブの投影なので偽物ですが)の儚く美しい姿が哀しみを更にそそります。

 

インセプション [Blu-ray]

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その他に触れておくと、キャストも良いですよね。渡辺謙もいいし。これは好みなんでしょうがアーサーやユスフなど、そのキャラに合った完璧な人選・配役をしてくれるなーと感心しきり。
アリアドネとかね。ああいう役が似合う子を使わないとなんですよねー。例えば金髪カワイコちゃんのディアナ・アグロンじゃだめなわけで。いやだめってことはないだろうけど(『glee』のクイン好き(´∀`))
日本の「まず使う俳優ありき」のドラマや映画制作ではあまりお目にかかれないですもんねー(嫌味です(o^-')b☆)

そしてこの作品が一番凄いのは時間を全く感じさせないところ。
これ、2時間30分あるんですよね(テレビで)。印象では90分くらい?という感じなので結構ガチで驚きました。
こういう話にありがちなのは導入部がちょっとダラダラすることなんですが、それが全くなくていきなり本編に入っていく有難い作り。そこからの本番ミッションへの流れも速く、途中途中に入ってくるコブの事情なども短くスピーディなのでダレない。
とにかくストーリー展開が速く、更にSFなので映像が魅力的で全く飽きさせない。
あっと言う間に終わってしまった…駆け抜けた…えっ2時間半も経ってるの?というこちらは竜宮城気分(´∀`)

爽快感とカタルシスを味わうために時々見返したい作品です。

ちなみにラストは「コマは倒れる(=これは現実)」派です(o^-')b☆






*1:ちなみに大抵悪夢なので「多段夢を見るのは心が疲れている時」という夢辞典の分析は当たっていると思う。

*2:そもそも私にとって創作は「娯楽」であり、「自分がいかに楽しむか&いかにカタルシスを得られるか」しか求めていないということがあります。

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